| クライミングのためのトレーニング
                
                  クライミングで筋トレをしても効果がないと一般的には言われますし、僕もそう言ってきました。
 
 しかしこれは間違い。やはり筋トレは効果があります。
                
 運動の特異性、つまりクライミングの動きを理解してそれに近い動きで筋トレすれば大きな効果が見込めま
                す。
                
 
 クライミングで筋トレが必要ないと言われるのは、動きが非日常的であるため、筋力が上がっても効果が見
                えにくいということがあります。つまりクライミングの動きができていないのに筋トレをしても意味がないという
                事。
                
 
 <ドロミテ 手がかりの向きが悪くなるほど、体全体の力が必要になってきます>
                
 
 しかしどんなスポーツでもある程度の基礎体力が無ければ練習することができません。そのためスポーツを
                行う際には基礎体力をあげる運動も並行して行う必要があります。
                
 クライミングはただでさえ普段使わない力、部位を使う運動なので、クライミングの動きを練習するのと並行
                して基礎体力をあげる運動を行う必要があります。
                
 
 
 クライミングのための基礎体力=指の力
                
                  
 多くの人にとってクライミングの問題になるのが「指の力」が弱い事。
                
 指が弱いとルートが登れないだけでなく、すぐ疲れてしまいクライミングの練習を続けられなくなることが問
                題となります。
                
 
 <ドロミテのマルチピッチ 小さな手がかりでも保持できなくてはクライミングの動きはできません>
                
 
 クライミングのトレーニングでは懸垂よりも指のトレーニングを優先させたほうが効果が高くなります。
                
 指の力を強くするトレーニング優先し、同時に他の部分もバランスよく強くする方向性がおすすめです。
                
 ただし指は見た目が細いことからもわかる通り、やりすぎると故障したりけがをする可能性があります。短時
                間で効果を出そうとせず、ゆるく、長く継続させることが必要です。
                
 
 
 握力と指の力の違い
                
                  指の力というと握力だと思いがちですが、微妙に違います。
 
 どちらも握り込む力ですが、握力は手の大きい人ほどその力は大きくなります。指の付け根近くで握り込め
                るほど力学的に効率が良くなるためです。
                
 指の力はその人の体重に見合っただけの握り込む力と言ってよいと思います。
                
 
 
 指トレ ステップ1 
                
 運動の特異性、過負荷、全体のバランスを考慮すれば、以下のトレーニングがおススメです。
                
 これなら何時でも、何処でも、短時間で行えます。
                
 終わった後に腕がパンパンになっていればOK。クライミングでパンプした状態に似ていれば良いという事で
                す。
                
 道具を使った場合に比べて指の使い方がクライミングの動きに近いので、効果があります。
                
 
 写真のように構えます。
                
 
 
 体軸は真っすぐ伸ばし、同時に体幹のトレーニングも目指します。
                
 体が壁側に曲がってしまわないように注意しましょう。
                
 この時足は壁側の足だけで立ち、反対側の足を浮かせます。
                
 ※左側の壁にもたれているように見えますが、左壁に触れてはいけません!
                
 
 
 
 指は第一関節(先端に近いところ)だけが掛かるようします。
                
 深く掛けないことが重要です。
                
 
 
 
 腕を曲げることなく「指を握り込む→指を伸ばす」を繰り返します。
                
 実際のクライミングでも同じですが、指と指を離さないように握り込み、指がしっかりと立つようにしましょう。
                
 これも実際のクライミング同じく、中指、薬指、小指に力が入るように握り込みます。
                
 スピードは特に気にする必要はありません。
                
 むしろ決めた回数ができることの方が大事です。
                
 
 
 片手50回以上(自分で決めた回数)できるように負荷を調整します。
                
 
 
 負荷の調整方法は壁から離れた場所に立てば負荷は小さくなり、壁に近づけば負荷は大きくなります。
                
 
 片手50回以上を左右交互に連続2セット目指します。2セット目は同じ回数できなくても構いませんが、「もう
                ダメ〜」というところからもう少し追い込んで終わってください。
                
 
 2セット目でも同じ回数できるようなら負荷が弱すぎるので、回数を増やすかより強い負荷にしましょう。
                
 岩場に行って何本も登るように、1日の間に何度でもトレーニングを行えるとベストです。
                
 
 地味なトレーニングですが、効果は抜群です。
                
 トレーニングし過ぎて故障しない範囲で、毎日行いましょう。
                
 
 
 ポイント
                
                  ・回数が80回を越えてできるようになったら負荷を上げていきましょう。
 
 ・疲れている時は回数を減らしたり、負荷を下げて出来るかぎり毎日行いましょう。
                
 ・単調過ぎて飽きてしまうので、テレビを見ながらできる場所を確保しましょう。
                
 ・家族に変な目で見られますが、気にせず頑張りましょう。
                
 ・壁や家具など壊さないようにしましょう。
                
 ・すぐに結果が出なくても、頑張って続けましょう。
                
 ・実際のクライミングと並行して行うことがベストですが、少なくともこのトレーニングだけは続けましょう。
                 |