クライミング・岩登りを始めようとしている方、上達しようと思っている方へ
山岳ガイド・ミキヤツ登山教室からのメッセージ
ギリシャ・古城遺跡を見ながらのクライミング
紀元前の遺跡
クライミングをしていると、旅の目的が出来ます。出不精の僕はクライミングのお蔭で、国内、海外含めていろいろ
な処へ行くようになりました。
クライミングが上手くなるという事は、それ自体だけの効果でなく、行動も変わるかもしれません。
上手くなるということ
クライミングに限らずスポーツは、「長い経験」や「パワー」だけでその人のレベル(限界)が決るの
ではなく、正しい動きができているかどうかによって決まってきます。
しかし、ある程度の筋力が必要なのも事実です。
クライミングで成果がでなかったり、上手くならない方は、「クライミングの正しい動き」が理解でき
ていないか、「正しい動きを実践するために必要な最低限の筋力」が足りないか、どちらかだといえ
るでしょう。
正しい動きを実践しなければ、まったく筋力を活かすことができないですし、逆にある程度の筋力
が無くては、正しい動きを実践することができません。
「・・・そんなこと解っとる!」という人もいるでしょうが、もしそうなら後は簡単。問題を解決するだけ
です。
「登れないという事象」から、「登れない原因」を見つけだしましょう。
クライミングなど、運動能力の向上の妨げになるモノ
クライミングに限らずスポーツ全般で、向上の妨げになる最たるモノは、その人の運動能力ではな
く、「自分で作り上げた常識」や「理由のない慣習的行為」によって、正しいかもしれない新しい考え
を拒否してしまうことです。
もしクライミングやスポーツで壁に当たっている状況というのは、これまでの「経験」、「考え」、「動
き」、「筋力」ではその問題が解決できない状況だといえます。
ですから問題を解決するためには、「これまでの・・・」ではなく、「あたらしい・・・」が求められてい
ます。
・・・ちょっと厳しすぎますか?
クライミングの特殊性
クライミングが他のスポーツと違う点は、ミスが即危険に繋がる状況があるという点で、これは必
ず理解しないといけない事実です。
危険であることを理解できれば、ミスが危険に繋がらない環境を作る発想になるのですが、それ
がロープ確保であったり、クライミングジムなどにあるマットになります。
そうはいっても、「危険」が頭の中にちらついていると、「恐怖」に繋がってきます。
クライミングとその環境を理解するほど「危険」が頭をちらつくのは当たり前のことで、それゆえ「恐
怖」があるのは当然のことです。
しかしクライミングを楽しむためには、この恐怖を乗り越えなくてはなりません。
「クライミングの向上の妨げになるモノ」として、「自分で作り上げた常識」を上げましたが、「恐怖」
も含まれます。クライミングの場合、多くはロープで安全を確保しています。落ちてもいい状況を作っ
ているのに、その安全性を否定してしまっては、危険ばかりが頭の中を占めてしまい、クライミングの
練習ができなくなってしまいます。
恐怖を忘れるとか、感じないようにするのではなく、「自分の知らない世界の事実」を受け入れてく
ださい。
・・・でも怖いからねー。
動きが先か、筋力が先か・・・いずれにせよ期間を集中させる
結論から言ってしまえば同時進行ですが、どちらかといえば動きを先行させて、それに筋力を追い
つかせるという順序がよいでしょう。
「最低限の筋力」という言葉を使っていますが、ある動きをしようとすると、少なくともそれに必要な
筋力が要求されますが、それ以上は求められません。ただし何回もやろうとしても、何度も出来るも
のではありません。
なかなか上手くならない理由として、正しい動きを身に付ける前に疲労してしまうということが挙げ
られます。
だから、効率よく動きを身に付けるためには、恐怖や考えの違いから起こる「否定」「拒否」をなく
し、少しでも効率を上げないといけません。
また、「求められる動きを何度も繰り返す」ことで、「何度も繰り返すために必要な筋力」が付いてき
ます。
動きを身に付けてそれを忘れないためにも、必要な筋力を身に付けて、それが落ちないようにす
るためにも、ある程度期間を集中させる必要があります。
そうは言っても、楽しくなければできません!
いろいろ書いてきましたが、やはり楽しくなければ上手くはなりません。
怖いものは怖い!
登れなければ楽しくないが、登れれば楽しい!
これらは本当の話です。
ですから、無理はしないでいきましょう。
恐怖は慣れましょう。
怖がるなと言っても絶対に無理です。怖さをコントロールする術を身に着けるべきです。
ロープによる安全性が確保されている状況に納得しましょう。
自分の本当の技術を理解し、求められている技術の範囲内であれば、それを恐怖をコントロール
する術としましょう。
「怖がらないようになる」のではなく、「怖い状況でも動ける」ようになることが目標です。
登れなくて楽しくない時は、難しさやグレードアップばかり目指すのではなく、簡単に登れるルート
を登って、岩登りを楽しく感じるようにしましょう。
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