「自分に合ったクライミングシューズを選べるようになるまでに3足は失敗する」ということをいわれま
す。
しかし現実的に3回も買い直せる人は稀ですし、3回失敗しても未だに選べない方もいます。
そういう訳で、クライミングシューズを選ぶ際のポイントを、これまでの慣習にとらわれずまとめてみ
ました。
クライミングシューズの種類
クライミングシューズは現実的に2種類に分類することが出来ると思います。
ダウントゥーしたシューズ
フラットなシューズ
結論として、特にクラック専用にしない限り、緩やかにダウントゥーした、そして立体的に作られてい
るシューズをお勧めします。
最近のダウントゥーしたシューズは、従来の様に「掻き込み」のためにその形状があるのではなく、足
入れを良くするために、そして立ちこんだ時に指がしっかりと立つことを狙っています。
このため足指の力が弱く、スメアリングや小さな足場に立つことが苦手な方(初心者の方)にこそお
勧めします。
ダウントゥーしたシューズの特徴
ダウントゥーしたシューズは、オーバーハングした壁での掻き込みのためにその形状があると思わ
れがちですが、それはごく一部の特徴であり、最近のこの種類のシューズは、スメアリングやエッジン
グという普遍的な性能アップのためにこの形状を採っています。
ダウントゥーしたシューズは指が伸びている時と立ちこんだ時の指のストローク量が大きくなりま
す。
このため、立ちこんだ時には指がしっかりと縮んだ状態になり、足指、シューズ先端に強い力が加
わりやすくなります。これによって小さな足場、スメアリングに強いシューズとなります。
しかし指がしっかりと縮むという事は、指の関節がシューズに強く当たって痛くなりがちです。このた
め、最近のシューズは指の部分が立体的に作られていて、関節が当たっても痛くなりにくくなってい
ます。
大きな短所もあり、ダウントゥーしたシューズは長時間履くと疲れやすくなります。
フラットなシューズの特徴
フラットなシューズは指のストローク量が小さくなりがちで、立ちこんだ時でも指が縮みにくく、足指
に力が入りにくくなります。
足指が大きく縮むことも少なく、このため関節が当たることも無いので、メーカーではこのようなシュ
ーズを立体的に作ることはしていません。このため素直な足入れであることが多いのが特徴で、際立
った性能は持たない代わりに、万人の足型に合わせやすいともいえます。
しかし、ある程度の性能を求めて適正サイズをを履くと、立体的に作られていない個所が当たること
もあり、「足の痛さ」に繋がっている可能性があります。
しかしフラットなシューズは長時間履き続けても疲れにくいという長所があります。
クライミングシューズを履くと疲れる理由
クライミングシューズでつま先立ちになるとき、足裏の筋肉を最も酷使することになります。
ダウントゥーしたシューズを履くと足裏が反っているため、既にこの部分の筋肉が少し縮んだ状態に
なります。これにより指先に力を入れやすくなります。
しかしこのことは、小さな足場に立っていなくても既に筋肉が緊張した状態となってしまうため、足
裏の疲れを招いてしまうことにもなります。
これに対しフラットなシューズはシューズを履いて、指先が曲がっていた(立っていた)としても足裏
の筋肉が緊張した状態にはなりません。このため長時間履いても足裏の疲労が少なくなります。
つまりシューズを選ぶにあたって、フラットなシューズは痛くなく、ダウントゥーしたシューズは痛いと
か、そういうことはあまり関係が無いという事です。
クライミングシューズの傾向
最近の高性能なシューズは親指、人差し指、中指、3本の指全体で立つような形状をしています。
このことを目的とするために、以下の形状に分類することができます。
@先端が丸いか、極端に尖っていない。
A先端は尖っているが、親指方向に他の指を集めている
B全ての指を中心に集める形状
小さな足場に立とうと思えば、先端をとがらせて、小さな足場にも足を掛けやすくした方が良いと思
われがちですが、実際に小さな足場に立つためにはスメアリングを併用した「スメッジング(スメアリン
グとエッジングの併用)」をすることになります。
このため、小さな足場にも立ちやすいという、普遍的な性能向上を図るためには、親指一本に力を
入れて立つよりも、3本の指で立たせた方が、力が入りやすい分だけ高性能なシューズになります。
最近発売されている高性能なシューズのほとんどは上述の三つの形状のいずれかによって、3本
の指に立たせる形状を取っています。
親指だけで立たせるシューズはお勧めしません。そういうわけで、名シューズ・ミウラーもお勧めで
はありません。3本の指で立たせるシューズこそお勧めします。
痛くない靴を選ぶために
いずれにせよ、クライミングシューズを選ぶ際には、「そのシューズはあなたの足指をどのような形
でシューズに収めさせようとしているか」を知る必要があります。
そしてもう一つ。
あなたの指の形状がどのような形化を知っておく必要があります。
足入れが良いシューズとは?
ゴムで覆われている部分は伸びにくい
シューズを選ぶ際、使い込むことで足になじんでくることも考慮しなくてはなりません。
足になじむのは、足の形状に合わせて若干伸びる部分があるという事ですが、ゴム部分は伸びる
ことはあまり期待はできません。
シューズを履いた時、当たって痛い部分があるのであれば、そこがゴムで覆われているかどうかを
確認しておかなくてはなりません。
メーカーはシューズを履いても足の指を変形させない形状を狙っています。
見分け方
ソールを見ればわかります。
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