山岳ガイド ミキヤツ登山教室が紹介する、現場からの登山装備、技術論
7月16日 Fさんベネチア到着〜カナツェイへ移動 Hさんトルコのクーデターの影響で未到着 この日、本来はHさんとFさんが到着予定だったのですが、トルコのクーデターでHさんが未着。Hさんはトルコに到着していることのみが確認でき、その後の行動は未決定。 到着もいつになるかわからないという連絡があったため、Fさんのみベネチア合流後、ドロミテへ移動。 7月17日 Fさんグランサール13ピッチ・280メートル Hさんベネチア到着〜カナツェイ 今朝になってもHさんの到着予定は立たないため、Fさんのみドロミテスタート。 ルートは初日からは少し厳しくなってしまいますが、グランサールへ。 このルート、岩が少し脆い個所もありますがやはり良いルートです。今日は朝から登ったので、頂上にはギャラリーがたくさんいました。 この時期にはこれまで目につかなかったエーデルワイスがこの頂上付近でも数多く見られました。 ルートを登っている途中でHさんからベネチア到着19時ごろの予定が決まった旨の連絡があり、夕方から空港まで迎えに行くことに。 7月18日 ヴィアフェラータ・コラック 昨夜到着したHさんは72歳。初日にクライミング厳しいかもしれないという事で、ヴィアフェラータへ行ったことが裏目に。Hさんにとってはかなり厳しいコンディションになってしまったようで した。 今回のルートはコラック山。 カナツェイの町の背後にそびえる山で、いわゆる純粋な登山ヴィアフェラータ。ヴィアフェラータによって山頂に立つことの出来る山です。 他のエリアのビアフェラータに比べて地図上では地味ですが、頂上やルート中、下山での展望、ルートの内容、難易度など、どれをとってもお勧めです。 7月19日 ファーストセラ 昨日のHさんの、「クーデター疲れ+初日の行動による疲れ」を考慮し、方針転換。 今後はクライミング主体で行動をすることに。 そういう訳で、コンディショニングを兼ねてファーストセラへ。 7月20日 ファイブフィンガー やはり、ファイブフィンガーは外せません。 この日は平日なのに何故か混んでいて、選考に5人パーティ(2パーティ)。取り付きから2ピッチ分でラインをずらしながら登って先行させてもらいました(彼らもラインが解りにくかったよう で快く譲ってくれました)。 Fさんも、クーデター疲れの抜けてきたHさんも快調にクライミング。後ろを振り返ると、おそらく10パーティ近くが登っていましたが、後続に追いつかれることなく終了。快適なクライミングを 楽しむことが出来ました。 7月21日 ポルドイ・マリアカンテ 10ピッチ300メートル 初めてのドロミテでポルドイの展望台に上がらないわけにはいきません。という訳で今回もポルドイ。 今日から数日、午後から天気が不安定。このため、ポルドイのクライミング環境はそんな午前中勝負のスケジュールでは最適なルートです。 Hさんもドロミテへ来るまでは昨年のシャモニ以来1年間クライミングをしていませんでしたが、この頃にはクライミングにもだいぶ慣れてきたようです。 実際、ドロミテで登ると、クライミングが上手くなると思います。特に難しいルートへ行っているわけではないのですが、1日に登るピッチ数が多く、しかもそのほとんどが傾斜が強いフェイス ルート。たまたまホールドが大きいためにグレードは高くはないのですが、それでもムーブ自体はしっかりと求められます。 また登っている環境が良く、そのルートの内容、質の良さ、景色、雰囲気も併せると楽しくないわけがありません。心から楽しみながらクライミングをしていれば、それは上手くなると思いま す。 7月22日 ヴァイオレット 5ピッチ チロリアンブリッジ コルチナへ移動 今日は午後からコルチナへ移動の予定。しかも午後から天気が崩れる予想。 このため短めのルートという事でカテナチオ山群にある、ヴァイオレット谷へ。 ここの短くとも、楽しめるマルチピッチクライミングルートへ行ってきました。 5ピッチのルートの途中ではチロリアンブリッジもあり、変化にとんだクライミングを楽しめますが、グレードがかなり辛めです。5.6と5.8の表示ですが、5.9と5.10bぐらいはあると思い ます。 このルートは山小屋の建っている草原台地に出て終了となりますが、ここにもエーデルワイスが群生していました。 ドロミテというと、日本ではコルチナという町が有名で、この辺りの山域のみに人が集まるようです。しかし実際にはドロミテというのは四国程の大きさの範囲に、大小いくつかの山群があ り、コルチナ周辺はそのうちの一つにすぎません。 今回私たちはいくつかの山域のうち、最も効率的にクライミングを楽しめるセラ山群を中心に行動してきましたが、そのセラ山群も数多くの山群の一つにすぎません。 HさんとFさんは比較的期間が長いこともあり、ドロミテを代表するセラ山群とコルチナ周辺を周ることにしました。 夕方、雨の中、カナツェイからコルチナへ移動。 一度に荷物と人を車に乗せきれないため、久野のみ再度もう1往復。 クライミングと峠でのアクセル、クラッチワークによって足が攣ってしまいました。 ・・・・クライミングより、峠の足さばきが疲れます。 7月23日 チンクトーレ コルチナの町は物価も高く、人も多く、特にメリットが少ないので、その下のズエル(Zuel)という集落のアパートに滞在。ここを基点に後半戦を行動します。 しかし、そうはいってもここ数日天気が安定しません。 このため、午前中勝負の行動計画をすすめます。 いつ雨が降るかわからない状況で、快適に楽しもうと思ったら、コルチナ周辺ではやはりチンクトーレです。「なんだ、チンクトーレかよ」を言われても、この天気では仕方がありません。週 末で人が多いとわかっていても仕方がないのです。 やはり考えることは同じようで、朝早くから多くの人、様々なレベルの人が来ていました。 チンクトーレは5つの塔という意味ですが、実際にはもっとたくさんの岩峰があります。大きいものは150m、小さなものは50mぐらい。もっと小さなボルダー、といっても10メートル以上あ るものも含めれば無数にあり、車を降りて20分程度でほとんどの岩峰に到達できる便利さから、人気のエリアになっています。 雨が降りそうで降らない状況の中、空いているルートを巡りながらマルチピッチクライミングを楽しみます。長いルートはやはり混んでいますが、短めの(と言ってもルート全長は100メート ル以上ありますが)るーとを選べば、この人の多さの中でも十分快適に楽しめます。 10ピッチ分ぐらいを登ったところで雨が降りだし、結局は14時過ぎまで登ることが出来ました。 7月24日 ヴィアフェラータ コルデボス コルチナの町の景色は背後にそびえるクリスタロという屏風のような山がシンボルとなっていますが、それ以上に存在感のあるのがトファネという山です。この山、実際には3つの山から成 っていますが、最も目立つ存在は「薔薇のトファネ」という山で、まさに三角形をした、朝夕には赤く染まる、そして、そもそもの岩が赤く輝く岩山です。ちなみに他の2つは「中間にあるトファ ネ」と「奥にあるトファネ」です。 今日のルートは、そんなトファネだったらよかったのですが、やはり午後から天気があまり良くありません。ヴィアフェラータにもう一度行きたいというお二人の希望もあり、トファネの横にあ る岩の台地、コルデボスのヴィアフェラータに行きました。 このコース、2010年ごろに作られたコースで、今は大人気のヴィアフェラータコースとなっています。 ルートのスタート地点は第一次世界大戦時には野戦病院があったそうで、今もその残骸が残っています。6月中にはイタリアの軍隊がここで演習を行っています。ヘリがバラバラと飛びか い、道路も封鎖している中で、いったい何をしているのかはわかりませんが、イタリアの軍隊がゲレンデでクライミングをしているのはよく見かけます。 やはり人気コースだけあって、ワイヤーの継続性、求められる体力度、景色、などどれも満足のいくものです。時間もアプローチから下山を含めて6時間ほどなので、お手軽に楽しめるコー スとしてお勧めです。 7月25日 トレッキング ラヴァレド ドロミテの中で最も有名な景色が、ここ「トレ・チメ・ラヴァレド」でしょう。「ドライチンネ」と言った方が解りやすいかもしれません。トレ・チメ、ドライチンネ、共に3本の塔というような意味だと思 うのですが、実際には3本以上あり、名前もしっかりとそれぞれついていてます。3本の塔という名前はこの岩峰群の近くで見た景色ではなく、下のランドロという湖付近から見た時に3本に 見えるためにその名前が付いたのだと思います。 折角コルチナに来ているので、ここもトレッキングで行ってきました。 本当はクライミングがよかったのですが、午後から天気が悪くなるので仕方がありません。 多くの場合左回りでトレッキングするのですが、朝の幻想的な北壁の景色を求めてあえて右回りで進みます。天気が不安定な分、空、空気の状態が刻一刻と変化し、トレッキングでも十 分に楽しむことが出来ました。 次回は是非、チマグランデ・北壁とは言いませんが、北西稜を登りましょう。 ・・・ノーマルルートは他に任せます。 7月26日 峠ドライブの後、ベネチアへ移動、帰国 今日は移動・帰国日。 コルチナ周辺のもう一つの有名処、パッソジアウへドライブをしてベネチア空港へ向かいました。 プライベート期間 登ったルート マドンナ パラ山群 セラタワー 幾つか チャバッツェ ロベルタ チャバッツェ ジョバンニパオロU アルコ スパイダーマン アルコ ロベルタ ルアルトゥ ニキビ トファネ コルディメッツォ コルデボス
山岳ガイド ミキヤツ登山教室は、夏山、冬山ともに国内では八ヶ岳、穂高岳、槍ヶ岳、剣岳、北岳、甲斐駒ケ岳など日本全国で、海外ではヨーロッパのシャモニ、ドロミテで山岳ガイド、登
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