山岳ガイド ミキヤツ登山教室


山岳ガイド ミキヤツ登山教室が紹介する、現場からの登山装備、技術論  

 国際山岳ガイドが教える登山技術 登山の歩行技術 その2       
 山岳ガイド ミキヤツ登山教室が現場からの登山技術、山の装備を紹介していきます。

山岳ガイド・ミキヤツ登山教室 久野弘龍・加藤美樹
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「歩く」といっても、平地と登山では全く違う技術です。登山で歩く技術はクライミングと同じ分類で考えるべきです。


 歩行技術 中級編

 街での歩行と違い、登山中に上手く歩くためには、以上のように別の歩行技術が必要です。
 しかもその技術を使うためには、どこでそれを使うか見分けないといけないですし、実際に実行する段階でも確実に 足を置くためにしっかりと足を置く場所を見続けないといけません。


 行動中の目線は次の足を置く場所へ、視線は目線を中心に全体を見るようにする





 上の写真、青いところは石も転がっていなくて、足を置きやすい所ですが、登山に置いては必ずしもそこが最も適し たところだとは限りません。
 赤いところは僕が実際に足を置いたところで、更にその中のピンクのところが特に意識している場所で、ここにピン ポイントで足を置きに行きます。
 その為に、目線は一歩毎にこの赤印辺りを見る必要があり、その中心はピンク印です。





 作戦どおり、ピンク印に足を置いています。
 この時、足のどこで立つかを意識することが重要で、多くの場合、中指の付け根を意識すると良いでしょう。
 じっさい、登山の歩行中は足裏全体が地面に接地していることが多いのですが、靴の中では色々な場所に力が移 動していくように歩く必要があります。その為にも、足裏のどこで立つか、意識があった方が上手に歩くことが出来ま す。

 重要
 水平の場所での歩行は踵のちょっと外側から着地し、拇指球に重心が移動してそこから親指に抜けていくような歩 きになりますが、登山中は、踵と拇指球が同時に着地するぐらいの意識を持った方が良いでしょう。
 特に下りでは踵から着地しようとすると、足だけが先行して、体が遅れてしまいます。このため足にしっかりと加重 できなくなり、摩擦を大きくすることができず、スリップしやすくなってしまいます。
 踵と拇指球を同時に着地するような歩きをすると、体が常に足の上にあるために、スリップしにくくなります。
 しかし、この歩きを急斜面でやろうとすると、真っ直ぐ前を向いたままではできません。その為に登山中は横向きに 降りたり、一歩毎に向きを変える必要があるのです。
 
 上と下の写真の場合、踵と拇指球が同時に着地する為に、石を使っています。
 爪先側だけ石を踏むことで、足が水平になりスリップしにくくなるので楽に歩けます。



 次の足も、予定どおりの所に置いています。
 目線は一歩毎に次の足場を見続けて動き続けます。そうでないと、こんなにピンポイントで足を置くことが出来ませ ん。




 上の写真は足場がもう少し悪くなった時です。
 次に置く足場は赤印の所ですが、その中のピンク印に拇指球を置くようにします。
 写真中の右上の絵。足が水平になるように爪先が少し上がった状態を作るためです。
 足が着地するまで、目線が離れないようにします。何故なら、ここで足を置く場所が少しでもずれてしまうと、足を捻 って転倒する可能性があるからです。




 ピンクの線が、岩の最も高くなっている位置で、それを指で掴むようにするために、そのちょっと下に拇指球が来る ようにしています。


 歩行技術 上級編

 歩行にせよ、クライミングにせよ、街の行動と違う点は斜面での行動だけではなく、荷物を背負って、しかも長い時 間行動することも含まれます。
 その為、状況によって歩き方自体も変化を付けると、行動が楽になることがあります。

 単軸歩行と二軸歩行

 言葉を勝手に作りました。
 人間が歩くには二本の足を使いますが、このとき、左右の足が1本の線の上を歩くか、2本の線を歩くかということ です。人間は無意識のうちにこれを行っているのですが、登山ではこれを意識して使い分けると楽に、あるいは安全 に歩けるようになります。


 単軸歩行

 いわゆる、モデルさんが、一本の軸で歩くことを思い浮かべてください。
 これはこれまで書いてきた、踵、拇指球、親指ラインで歩く、歩行のかたちです。

 メリットは上体が左右に振られることなく、重心移動が可能になります。常に重心が、左右どちらかの足の上(下半 身の上)にあるため、足の動きが上体に伝わりやすく、移動にロスがありません。
 しかしこれは平地でのことで、仮に登りでこれを行おうとすると、かなり難しくなります。うまくこれが出来れば、力強 い動きにつながるのですが、そうは行かないことが多いようです。

 最も重要な点は、左右どちらかの足の上に重心があるということは、そこまで重心を移動しないといけないというこ とでもあります。
 もう少し分かりやすい言葉で言うと、平地ではお尻の筋肉を使って、疲れにくい歩き方ですが、斜面でこれを行う と、体を押し上げる行為が必要となり、お尻よりも足に頼りすぎるということです。
 
 この歩き方、力は使うかもしれませんが、上体を左右に揺すりたくないような不安定な場所を歩いたりするときには 必須の技術です。


 二軸歩行のススメ

 登山、特に登りでは二軸歩行がお勧めです。
 二軸歩行、すなわち右足と左足が平行に着地する歩行法でもあります。
 最も有名なのはナンバ歩きです。

 この「ナンバ歩き」が説明される際に、手と足が同時に動く、つまり、「右手と右足が同時に前に動き、その後左手 と左足が同時に前に動くことだ」と、よく言われます。
 しかし、これはナンバ歩きを説明し切れておらず、この歩き方の最も重要な二軸歩行については言及されていませ ん。

 ナンバ歩きのメリットは二軸歩行であり、これを前述の単軸歩行と比べれば、「左右どちらかの足で重心を支えなく ても歩ける」といえます。
 つまり、足の上まで重心を移動することなく進行方向(前や上方)へ進むことができ、つまり、足の力(特に膝周り) の筋力に頼ることなく進むことができます。

 さて、このナンバ歩きを実践してみましょう。

 右足一本で立ちます。
 そのまま左側に倒れてみましょう。
 そうすると倒れる体を支えるように、左足に重心が移動するはずです。

 左足に重心が移動したら、今度は左足一本で立ち上がることなく、右側に倒れて右足でそれを支えましょう。

 このとおり動けると、ブリキのロボットやペンギンのように体が左右に揺れながら歩くことになるはずです。
 これがナンバ歩き(二軸歩行)のメリットで、進みたい方向へ移動する推進力を、体の「揺れ」によって作り出すこと ができます。

 右足、左足どちらか一本足で立つことなく、次々に足を出していくことで進みたい方向に進むのがナンバ歩きです。
 ですから、歩くことに力を使わないのがメリットです。
 強力など重い荷物を背負って登山する場合、休憩で腰を下ろさないようにするのは、この推進力を消したくないた めで、腰(重心)が高い位置にあれば、次の一歩を体の振りで作り出すことができるためです。
 
 何気なく登山中に行っている行為でこの二軸歩行をあげれば、トレイルランナー、あるいは登山者が登りで力を使 わないために、膝に手を当てて登ることが挙げられます。

 よく、膝を押して上体を押し上げると説明されますが、間違いです。
 これは2軸歩行(手と足を同時に出すと二軸歩行になりやすい)を行い、上述の動きを実現するために行っている行 為です。

 また、ストックを使い切ると、この動きになります。
 ストックを少し短めにして、体の左右でなく、後方につきながら歩くと、右足を挙げたときに右肩が下がり、左足を挙 げたときに左肩が下がるような動きになるはずです。
 「体の捻り」、そして「骨盤の上下」といった、足でなく、上半身が積極的に使われるはずです。
 足に頼ることなく、歩行することができるのです。

 この動き、みぞおちを振り子の支点にするように腰を左右に振りながら登ると、同じ動きが実現されるはずです。
 更に積極的に、腰、肩の上下と捻りを加えると、膝関節に頼らない動きができます。
 左右の手を腰に手を当てて歩くと分かりやすいと思います。


山岳ガイド・ミキヤツ登山教室


 山岳ガイド・ミキヤツ登山教室は、加藤美樹、久 野弘龍がそれぞれ主催する個人ガイドの集合体 です。
 
 日本山岳ガイド協会認定のもと、山岳ステージ 2(登攀ガイド)、国際山岳ガイド資格を保有し、ガ イド業を行なっています。




 私たちは、ガイド業を通じて技術や道具、登山 情報を、過去の慣習や過去の経験ではなく、現 在の経験に基づいた現場情報を提供することで、 登山をする方が安全に楽しめることを目標として います。

 ガイド業務中には皆様の安全を図ることはもち ろん、、講習会や行動しながら登山技術を伝える ことで、ご自身で行く登山をサポートします。

 これらのことを実現するための手段がガイド業で あり、皆様に提供する情報を得るために現在もプ ライベートでのクライミングを続けています。 




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加藤美樹・久野弘龍

日本山岳ガイド協会認定
国際山岳ガイド連盟認定
八ヶ岳山岳ガイド協会所属

〒408−0041 
山梨県北杜市小淵沢町上笹尾3331−711 
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